ご閲覧いただきありがとうございます。
はじめましての方ははじめまして。ノッルと申します。
Pokémon LEGENDS アルセウス、18年来のポケモンファンとして、このあまりにも受け取るものが多く、感慨深かった作品のプレイ感想を要素別で振り返っていこうと思います。クッソ長くなってしまったので気になる部分だけでも見ていってくれると嬉しいです。
特にあっためていたわけでもないのにダラダラ執筆していたせいで発売から半年以上経ってしまったのはご容赦ください。
※この記事はストーリーの重大なネタバレを含みます。
ゲームシステム
野生ポケモンとの接し方
野生ポケモンとの戦闘自体はピカブイや剣盾から培ったシンボルエンカウントになっていますが、違うのはなんと言っても必ずしも「人vsポケモン」の構図。戦闘中に繰り出す技と同じエフェクトで主人公が攻撃されたり、勝てない相手からは主人公が走って逃げたり、戦わずに捕まえたりと、今までなぜしてこなかったんだということが一通りできるため、今までのポケットモンスターの枠に囚われない自由度の高さを感じました。
またポケモンを投げることでシームレスに戦闘に切り替えられ、眠り→眠気、凍り→霜焼けと言った行動不能系の仕様変更があるなど、オープンワールドにポケモンの戦闘を持ち込む以上、戦闘テンポを良くしようとしている意思が見られました。
戦闘システム
まずポケモンのステータスが本来のものから変わっていることに驚きましたが、力業・早業の使い分け、攻め・守りの力のターン制限、ステロなど技の大幅な仕様変更など、従来の戦闘に慣れている人ほど頭を捻るシステムになっていたと思います。特にトレーナー戦においては行動決定順による全抜きのしづらさや、コンゴウ・シンジュ団との多対一バトルなど、多少レベルが上回った場合でもやりごたえがあって良かったです。
キング戦
キング戦はこれまた人vsポケモンの構図ですが、主人公のみがシズメダマを投げて頑張るか、戦闘で隙を作るかを選べるのも面白い所で、戦闘が必須ではないあたりあくまで「ポケモンに協力してもらう」という構図になるのでその辺もアルセウスのテーマに則っているのかなと思いました。
グラフィック
ワールド
超綺麗。
ブレワイ(実況を見ただけ)にかなり通づる部分があってSwitchのオープンワールドだなぁという感じがしましたが、今まで主人公が道に沿って歩くのが主だった本編からすると"ポケモン世界の中で"目に見える場所全ての範囲に行ける、というのはかなり大きな感動がありました。
それと自然条件の描写も細かく、日付を跨ぐたびにちゃんと月齢が変わっていたり、雨や雪が降った際は登場人物の服の質感が変わっていたり、細かいリアリティが追及されていました。
またフィールド内でのポケモンの描写が素晴らしく、ビーダルが建設したダムが生息域周辺にあったり、ノズパスが北(か磁気のあるテンガン山)方向を向いていたり、これまでの作品で培ったポケモンの生態をフルに活かせる作品だったなと思います。
コトブキムラ
時代感は大正入りかけ?くらいの建造物や文化なのかなと思いましたが、これまでのポケモン本編では描写がされづらかった生活感がかなり強調されており、これも人とポケモンが共に暮らすというテーマに則ったこの作品でしか出せない要素だったかなと思います。
技エフェクト
かっけぇ。
最初に見て衝撃を受けたのは剣の舞で、既存のものから大幅に変えてきたなぁとびっくりしました。その他変わったものもあればそんなに変わってないものもありましたが、どれもSEだったり光彩であったり色々と迫力のあるものに仕上がっていました。特に力業使った時のギュギュギュってなる音が好きです。
BGM
マジで良い。
基本はダイパのBGMを基調とし、ヒスイとシンオウで同じ位置にあたる場所はその場所のアレンジBGMが流れます(この時点で良い)が、アレンジが何とも大胆。ベースは自然環境の壮大さを出しながらも違和感が無く、かつ気付ける程度にダイパBGMのフレーズを取り込んだバランス感覚が素晴らしい。一番最初に奥の森でハクタイの森アレンジを聴いた時にはやりやがったな…と感銘を受けました。
戦闘BGMもダイパの戦闘BGMが一通りアレンジされた形になり、こちらは和チックでありながらゴリゴリにロック調(?)の音も鳴らしており、BDSPの正統派アレンジとは対照的な攻めたアレンジがたまらなくかっこよかったです。特に神殿周りの伝説戦BGMはこの作品の世界観に照らし合わせたような荘厳さで素晴らしかったです。
細かいところだとBDSPで出る機会の無かったハタ取りやゲームコーナーのフィーバーBGMがしれっとアレンジされていたり、コトブキムラが発展後により元のコトブキシティのフレーズを色濃く入れるなど、気付けるだろ?と言わんばかりにゲーフリがオタクを試す姿勢が見られて良かったです。
世界観
時系列(時代背景)
やる前はミオ図書館に描かれるシンオウ神話そのもの…なのかと思っていましたが、見るに人とポケモンの関わりは少しずつできてきた時代で、その中でも発展の遅いヒスイに焦点を当てた物語でした。先に述べた大正入りかけなこともあって、現代とそう遠くない過去の話のような位置づけに感じました。
世界観考察はキリが無いので他に任せますが、手がかりを探る上で重要なふるいポエムを読むことでヒスイの時系列や後述の他地方の関わりが(頑張れば)理解できる構造になっており、後付けにしろ散らばった伏線をうまく回収したもんだと感心しました。あと個人的にポエムの筆者はコギトで、その腐れ縁であるウォロが同じ境遇にあった、というのが一番しっくりくるかなと思います。
他地方との関わり
先に述べた他地方の関わりですが、具体的に見ていくと
カントー…オマツがカントー出身(キクコ・キクノが同郷という所まで確定?)
ジョウト…デンボク・ムベの出身地、いかりのみずうみ事件
ホウエン…マツブサアオギリの祖先、ムベの移住地(?)、モブの出身地
イッシュ…お隠れになられた「太陽」を求めて散っていった人々(アデクの子孫?)
カロス…あれだよ
アローラ…ライドポケモンが既に存在している(人とポケモンが打ち解けていた証拠)
カロス…ふるさとマフィンが食べられてた場所、デンボクが来てたカロス伝来の鎧
などなどこれだけでもまだまだ一部ですが、過去の設定と地続きなのも嬉しいポイントでした。
ストーリー
今作は一本のポケモン映画のようなストーリーが展開されていてかなり満足度が高く、受け取るメッセージ性も多かったのでそれを大きく場面ごとに区切って書いていきます。
パサギリ編
物語のチュートリアルにも当たる部分ですが、主人公・もといプレイヤーが当たり前にできる「ポケモンを三匹捕まえる」ことを偉業としている所、ウォロを除いて積極的にバトルをする人間が少ないという所で今と昔のギャップを強く印象づけられました。
ここで時・空間を信仰するコンゴウ・シンジュ団、他の土地出身の寄せ集めで科学の力を駆使するギンガ団というヒスイの勢力図が分かります。色んな意味で中立であるギンガ団に超スペック主人公が参入するのが相応しいことが分かります。
ポケモンと直接対峙し、キングを治める中で「主人公の努力が周りに認められてストーリーが進む」というポケモンストーリーの修飾語に「命懸けで」が付くことが実感させられます。
ドレディア編
雷が落ちたドレディアに違和感を感じつつもそれを隠していたヒナツが正しい人とポケモンとの接し方を知っていく物語。ヒナツのように若さゆえの過ちを犯すのはもちろん、今まで凝り固まった考えを持っていたユウガオのようなおばちゃんも考えを改めるという若者と老人の対比のような構図も見られました。
またセキが組織を先導し信仰を重んじる立場でありながら、時代を変えていく姿勢を見せてくれるのもストーリーにおいて頼もしい存在たる所以なのかなと思います。
ウインディ編
亡くなった先代ウインディの跡継ぎを巡る物語。いっちゃんすき。ガーディの背景を知っているからこそガラナとススキが、組織に背くことになろうとガーディの意思を尊重するという、人とポケモンの在り方として最も理想的なエピソードでした。
ここでシンジュ団の長という重役を任されて重荷に感じているカイの様子も描写されます。というか発端がガーディの件を解決できず組織に板挟みになって主人公に頼むことなのですが、セキと対照的でなんとも頼りない感じもまたカイの可愛さを強調しています。
マルマイン編
同じく未来から飛ばされた(こっちは事故)ノボリとマルマインの暴走は止めるべきではない、という信仰心の強いツバキの対立構造的な話になっています。
ノボリの微かに残っている廃人施設の長である記憶を活かし、ヒスイの地にポケモンとの接し方を広めていく展開も主人公同様に使命を持った者といった感じがします。ノモセ大湿原の鉄道の伏線にもなってるとか何とか。
またツバキですが、信仰心が強いのはともかくやることがちょこざいかつ負けを認めないかと思いきや慕っているセキの言うことにはすんなり従うクッソ小物キャラで個人的にめっちゃ好きです。
クレベース編
雷が落ちたが暴れていないクレベースを治めるのかどうかという話。物語はこれといった盛り上がりはみせませんでしたが、カイやセキといった主人公を取り巻く環境が変わっていることを実感させられる場面でもあります。
シンオウ神殿編
時空の歪みが広がったことを受け、デンボクに疑いの目を向けられコトブキムラを追放されるというまさかの鬱展開。主人公を守りたい気持ちはありつつも組織との板挟みな登場人物の葛藤も描かれるのが生々しさを演出します。
ここで初期から関わってきたテル(ショウ)とラベン博士、そしてシマボシが背中を押してくれ、ウォロに匿ってもらったりセキカイに手助けしてもらったりと今まで築いてきた信頼が無駄では無かったと教えてくれます。
ここでようやくシンオウ神話関連のはっきりとした繋がりが出てくるのも印象的で、DPtでは戦うだけだったユクシー・アグノム・エムリットにちゃんと感情・知識・意思を問われるのも面白いポイントでした。
この後槍の柱になる前のシンオウ神殿に向かうのですが、ここで勝負服ムベ&デンボクと戦うことになります。2人の過去も明らかになり、自身もトラウマを抱えた上で組織やら色んなことにがんじがらめになった結果の暴挙、という大人げないけど大人らしい苦悩も描かれました。
この後パルキア(ディアルガ)と対峙しますが、とにかく迫力がすごい。あかいくさりでアナザーの姿としての呼び出し→戦って治めるという流れが完全にDPtのそれと同じで、真にリメイクだなというのを見せつけてくれました。
また近年のポケモンお得意の対伝説vs対伝説もあり、衝撃的なデザインのオリジンディアルガ(パルキア)との対峙シーンはどこを取っても激アツで、レジェンズのストーリーでなければ出せない緊迫感があったなと思います。
そして、ここでディアルガ(パルキア)が捕獲され、今まで信仰していたシンオウさまがポケモンであったことが身をもって実感され、信仰心の薄れもあってかコンゴウ・シンジュ団の軋轢も無くなりました。第一幕の終わりとしては綺麗な形だったと思います。(エンディングのお祭りのイラストめちゃくちゃ良かったけどスクショ禁止だったから貼れない)
クリア後
ここで鳴りを潜めていたウォロが登場し、回収されていなかった伏線を少しずつ回収するストーリーが展開されます。
またストーリー後の主要キャラとのやり取りも見ることができ、主人公と関わって価値観が変わった様子も描かれます。
そして全てのプレートを集めると、ウォロが急に不穏な言動をし始めます。筆者はピュアすぎてウォロが黒幕であることにここで初めて気づきました。そして主人公とウォロ以外が居ないシンオウ神殿で全てをさらけ出し、対峙します。ここのシロナBGMアレンジ→ミカルゲ繰り出し→ギラティナ打破せよ→真の力を解放したの流れ、歴代最高の演出かつ最高のリメイクすぎて、全然泣く場面じゃないのに泣きそうになりました。ありがとうゲームフリーク。
そして全てを打ち砕かれたウォロはすてゼリフを吐きながらも潔く手を引き、消息を絶ちました…と思いきやその後ラベン博士に会ってギラティナの行方を教えてくれていたこと、図鑑の完成を楽しみにしていたことが暴露されます。健気すぎる。なんだこの憎めなさすぎる悪役は。惚れてまうやろ。こうしてウォロにクソデカ感情を抱いてしまった筆者は、図鑑完成すればウォロに会えるのではないかという微かな希望を持ってその後を進めていきました。
図鑑完成後
そして全ポケモン捕獲後、いよいよアルセウスに会いに行くことになります。
テンガン山の頂上でてんかいのふえを吹くと、光の階段が現れ、アルセウスと対峙するという某ダイパの没イベントを彷彿とさせる演出があり、ここでアルセウス戦のBGMも流れます。この最強グラフィックでこのイベントを再現してくれたことには感謝しかない。
戦闘は今までの集大成とも言える難易度であり、パルキアディアルガギラティナが使っていた技もさらに強化してぶちこんできたり、必ず弱点になるさばきのつぶてをお見舞いされたりとまあ鬼畜でした。でもウインディの方が難しい。
力を示されたアルセウスは分身という形で主人公についていくことになりました。この分霊概念、創造神であるアルセウスの威厳を損なわないままデータごとの個体がいることの説明にもなるしマジで天才だと思う。
また、今作は図鑑完成がメインの目的であるため(毎回そうだけど)、図鑑完成に際してちょっとしたイベントがありました。捕まえるだけでなく技などを見るタスク埋めの必要があったので、ポケモンの生態を明かすという目的にも説得力が出ますし、苦労した分こういうのがあると嬉しかったです。ポケモンシリーズで初めて図鑑を埋めきったけど楽しかった。
ヒスイの夜明け
2月27日のポケモンダイレクトにて、DLCが出るのではと言われていた時に追加されたまさかの無料アプデ。太っ腹すぎる。
内容は大大大発生を巡る調査、および各主要キャラのエピローグの追加でした。剣盾のアプデのようにキャラクターが魅力的な作品で掘り下げを行ってくれたのは嬉しかったし、いっぴき道や夢天連戦というこの作品でしかできないバトル要素もがっつり拡充してくれたのもありがたい。
やり込み要素
ランクマッチなどのエンドコンテンツが無い分、オフラインでもできるようなミニゲーム的な要素が特に充実していた作品でした。
サブ任務
この作品の本体と言ってもいい部分。任務というだけあって主にポケモンと干渉することで起きたトラブルを解決する過程で、この時代の人とポケモンとの距離感をコミカルに描いていました。
アンノーン
地味に楽しかった要素。従来作品に比べて豊かな3Dの地形をフルに堪能できるよう、変なところにアンノーンがひっついていた。筆者は図鑑ページのヒントに気付かないまま20匹くらい集めていた。アホ。
風船割り
これも3Dの地形を存分に活かしたミニゲーム。Lボタンを押すと自動で正面カメラに補正してくれたり、ウォーグルがダッシュだと高度が落ちやすかったりといった、地味~な仕様に気付かせてくれる。
タイムアタック
各ボス戦に何度も再戦し、ひたすらタイムを縮めるだけのゲーム。剣盾のロトムラリーとかも延々とやっていた人間だったのでこれも三日くらいずっとやってた。
いっぴき道
バトル要素拡充その①。ノボリが用意したポケモンに1体だけで挑むバトルで、なんと全ポケモン個別でデータが用意してある。すごい。テレポートを相手にモノマネさせる、パワーシフトでトリデプスの突破力を上げるなど、かつてのポケモンXDのバトルディスクを彷彿させるような奇想天外な戦略が求められて楽しかった。
夢天連戦
バトル要素拡充その②。夢の中でひたすら連戦しながらポイントを稼ぎ、それを応用しながら戦うというバトルキャッスルのような施設。レベルや技の皆伝、がんばレベルまでこだわらなければ生半可な回数で終わってしまうため、かなりやりがいがあって楽しかった。ドレディア最強。
公式説明によるとこれはアルセウスの"戯れ"らしい。人間と遊んでるという姿勢を崩さない、どこまでも上位存在である。
総評
従来のポケットモンスターの枠に捕らわれない革新的な作品でしたが、システム面や世界観は従来シリーズから受け継いでいる部分が非常に沢山あり、今までの文脈性抜きには語れない作品でもありました。
また、時系列的にシンオウ地方誕生前ということで、原作内で拾いきれなかったシンオウ神話の文脈性をしっかりと紡ぎ、ヒスイ地方でしかできない壮大な世界観をもってして、最適解とも言えるリメイクをしてくれました。金銀やBW2が「正統続編」だとしたら、Legendsは「正統過去編」のような位置づけだったと思います。何と言われようが、このような形で世に出してくれたことに感謝したいです。
つまり何が言いたかったのかというと
楽しかった!!!ポケモン最高!!!
ご閲覧いただきありがとうございました!
BDSPのプレイ日記もあげてます。よければ是非。